病院

病院は老人の社交場である




うん、まぁそれはいい
どんなにしょうもない理由で来ようが、
それによっていち早く治療を受けたい人間が後回しにされようが、
棺桶に首まで浸かったような御仁達の最後の生き甲斐だと思えば、
ある程度のことは我慢するさね


ただ、
くしゃくしゃのバケモンみたいな顔で大声で談笑してた連中が、
俺がその空間に近付いただけで急に黙りこくって、
あまつさえ怪訝な顔してこっちを睨んでくるまであるから堪ったもんじゃない
俺何かした?


上では老人のって書いたけど、ほとんど婆さんね
その点爺さんってのは大人しい
婆さんとの主従関係がなんかおかしなことになってたりね
で、婆さんに先導されておずおずと爺さんが入ってきて、
婆さん達がゲラゲラやってる間一言も発せずに静かにしてるから、
こりゃ結構重い病気で大変なんだろうなぁなんて思ってると、
名前呼ばれて婆さんだけ颯爽と診察室に入って行くからね
さらにその婆さんが出てきて会計を済ませると、
また婆さんに連れられて爺さんがしずしずと出て行くわけ
婆さんのがよっぽどキビキビ動くから、
最早あの場では爺さんの存在意義が感じられないんだけど、
せいぜいアッシー君みたいなもんかなと


ところで、
病院に集まる婆さん達は不必要に交友関係が広いっていうか、
「あ〜ら奥さん」とか言って誰とでも世間話始めて、
それぞれの間で随分仲がいいんだろうかと思ってると、
「それじゃお先しますね」
「えぇ、えぇ、また今度」
とかいうやり取りの直後の乾いた笑顔に人間を見たような、
そんなひとときでした
っていうかあと1週間も無いのに、
病院通いなんかしてる場合じゃないぞ俺、
という戒めを込めた本日の日記はこの辺で終了